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ゲノムのある診察室

ゲノム医療とは?

ゲノムのある診察室 ゲノム医療センター
(センター長 / 特任副院長)

三木 義男

みなさん、ご自身の体がどのようにして日々の生活を支えているか、ご存知ですか?

私たちの体は、細胞の中の「生命の設計図」と呼ばれる「DNA」という糸で織りなされた壮大な物語のようなものです。

このDNAから読み取られる情報が「ゲノム」と呼ばれ、私たちの体質や病状、薬の効果に関わる重要な情報を含んでいます。そこで注目されているのが、「ゲノム医療」です。

ゲノム医療とは、一体どのようなものでしょう?

ゲノム情報は、私たちの体質や病状、薬の効果に関わる重要な情報を含んでいます。ゲノム医療は、この「ゲノム情報」を詳しく分析して、病気を予防し、診断し、そして治療する、革新的な医療アプローチです。これにより、体質や病状を正確に理解し、それぞれの患者に最適な治療法を提案することが可能になるのです。

具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

  • 個々人に最適な治療の提供
    個々人に最適な治療の提供

    あなたの体質や病状に合わせて、最も効果的な薬や治療法を選ぶことができます。
    これにより、治療の効果を高めつつ、副作用のリスクを最小限に抑えることが期待できます。

  • 病気の早期発見
    病気の早期発見

    遺伝的な傾向を事前に知ることで、病気を早期に発見し、適切な予防策を講じることができます。
    また、がんの早期発見や再発の早期検出なども期待できます。

  • 健康維持のサポート
    健康維持のサポート

    自分自身のゲノム情報を知ることで、より健康的な生活習慣を身につけるための指針を得ることができます。


ゲノム医療は、これからの医療をより安全で効果的なものに変える大きな可能性を秘めています。「ゲノムのある診察室」では、あなたの遺伝子の物語を紐解き、一人一人に最適化されたゲノム医療を提供いたします。

当院におけるゲノム医療

当院では、ゲノム医療の推進に積極的に取り組んでいます。ゲノム医療に対応した診療科として、以下の科を設置しています。

小児科

Pediatrics
大薗 恵一

希少難病は7000疾患程度あるとされ、その多くが遺伝子の異常により発症すると言われています。小児期に見られる希少難病では、特にその傾向が強いです。その意味では、ゲノムに基づく医療は、希少難病の診療において大変重要です。年々、遺伝子診断できる希少難病も増えています。ぜひ、難病医療推進センター、小児科にご相談ください。

乳腺外科

Breast Surgery
中内 千暁

乳腺外科としては、遺伝性乳癌卵巣がん症候群を主に診療します。
乳癌・卵巣がん・膵臓がんの家族歴がある方など、お気軽にご相談ください。

産科

Pediatrics
井上 格

出生前診断は、ゲノム検査だけでなく、日常診療の超音波診断、NT検査~胎児奇形、胎児病診断、NIPT検査(non-invasive prenatal genetic testing)などがあります。
不妊治療で卵凍結、受精卵凍結が行われ子宮内に妊卵を戻す際に遺伝子異常を調べる技術が進歩し、着床前遺伝子診断(preimplantation genomic diagnosis: PGD),着床前遺伝子検査(スクリーニングから検査へ)(preimplantation genomic screening test: PGT, PGS)が行われることがあります。います。現時点では①臨床研究として行うこと②1症例毎に着床前診断に関する審査小委員会で診査を受けることが必須となっています。
当科でもニーズに応じて順次検討し行っていきたいと考えています。

婦人科

Breast Surgery
竹内 聡

婦人科がんの内、卵巣がん、子宮体がんに関しては腫瘍細胞のゲノム異常を知ることで、予後診断、より有効な治療方法が勘案できる場合があります。現時点では保険適応のあるものは限られておりますが早晩認可されると考えます。子宮頚部進行癌においても予後を延長させる治療法も認可されております。今後、ゲノムのみならずそれらにより産生されるタンパク、タンパクの合成にひるようなRNAやその断片、ゲノムを修飾コントロールするエピゲノムの研究により手術の薬物が創成されてくると考えます。
遺伝性乳癌卵巣がん症候群(HBOC:hereditary breast and ovarian cancer)ではBRCA1/2異常などの卵巣がんは加齢により~75%に及ぶため、予防的に摘除を行うリスク低減卵管卵巣切除、RRSO(risk reductive salpingo-oophorectomy)(保険非適応)を行ったりします。また、BRCA1/2異常および周辺パスウェイ異常(HRD: homologous recombinant deficiency)を有する卵巣がんの治療に対してPARP(poly ADP ribose polymerase)阻害薬を使用したりする(保険適応)ことが可能です。

脳神経内科

Neurology
大西 静生

多くが未解明の臓器である脳の疾患(特に神経難病)については遺伝子(ゲノム)と密接な関わりがあるとされ、特に家族歴のある疾患では解明が進んでおり、遺伝歴のある脳・神経疾患をお持ちの家系の方で気になる症状があれば脳神経内科にお気軽にご相談ください。

循環器内科

Cardiovascular Medicine
外山 康之

心血管疾患領域では、心筋梗塞を高率に発症する家族性高コレステロール血症や突然死につながる遺伝性不整脈、遺伝性心筋症の早期診断が重要です。
また、高血圧や虚血性心疾患などで長期間薬を服用される方は、薬の効きやすさや副作用のでやすさを調べる薬物応答性遺伝子検査もご利用になれます。お気軽にご相談ください。

消化器外科

Digestive System Surgery
日野 仁嗣

がんは遺伝子(ゲノム)に異常が生じて発生する病気であり、消化器外科では、主に消化器がん(胃がん、大腸がん、膵臓がん、肝臓がん、食道がん、など)の治療を行っております。
近年の研究により、がんの遺伝子異常の詳細を調べることで、がんの性質や抗がん剤の効果予測などが可能となってきました。何かご質問等ございましたら遠慮なくご相談ください。

腎臓内科

Nephrology
森 優希

慢性腎臓病(CKD)において、腎機能および尿蛋白における遺伝子との関連性が指摘されております。今後CKDのリスク因子や原因遺伝子の解明に向けた研究の加速が予想されております。最も頻度の高い遺伝性腎疾患である多発性嚢胞腎においても、ゲノム解析によって腎機能悪化リスクに関与する因子が明らかにされつつあり、診断治療に寄与すると予想されます。当科でも必要性に応じて順次対応していきたいと考えております。

耳鼻咽喉科

Otorhinolaryngology
阪本 浩一

耳鼻咽喉科の阪本です、私は兵庫県立こども病院在任時、2008年頃から難聴遺伝子診療に関わり、臨床遺伝専門医として、現在も大阪公立大学にてゲノム外来を担当し、難聴、腫瘍などのゲノム診療を実施しています。当院でも、難聴遺伝子診断について相談を随時お受けしております。耳鼻咽喉科領域の遺伝に関してご心配のある方はお気軽にご相談ください。

皮膚科

Dermatology
爲政 大幾

皮膚がんの多くは発生数の少ない希少がんであるため、進行した場合に高いエビデンスレベルを持って推奨される治療薬は非常に限られているのが現状です。
しかし、症状が進行した皮膚がんで治療薬が存在しない場合や、保険で認可された薬剤を使用したが効果が得られなかった場合などでは、ゲノム検査を行って効果が期待できる治療薬を探すことが有望とされています。このようなお悩みをお持ちの方は、ゲノム検査に関してご相談いただくこともご検討ください。

泌尿器科

Urology
光野 絢子

泌尿器科では、転移性去勢抵抗性前立腺癌にたいし、オラパリブ(商品名:リムパーザ)が適用されました。
去勢抵抗性前立腺癌については、さまざまな治療薬が保険適用となっておりますが、オラパリブはBRCA遺伝子異常が認められた場合のみ使用いただけます。お気軽にご相談ください。

人間ドックSOPHIA

SOPHIA Complete Medical Checkup Center
安藤 紘史郎

人間ドックSOPHIAでは、がんゲノムドックをはじめとしたゲノム診断を2023年より行なっております。
また、その他にもゲノム解析を伴う検査を複数開発中です。
健康診断もゲノム無しには語れない、という時代がすでに始まりつつあります。ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください!

ゲノム医療にご興味のある方へ

ゲノム医療にご興味のある方は、お気軽に当院の各診療科にご相談ください。

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