薬剤部
薬剤部の紹介
当院の病院理念である「先進的で高度・良質な医療の提供による健康生活の回復と豊かな生命の創造」を目標に、「薬剤」を通じて最新・最善の医療情報の提供に努めています。
感染制御チーム、栄養サポートチームなどチーム医療を求められる中、薬剤師の主たる業務である医薬品の適正使用と安全管理、副作用の早期発見、処方設計の支援などに対し、強い意識を持って業務を遂行しています。
6年生薬学実務実習にも対応し、これからの薬剤師の育成にも貢献しています。
各学会認定薬剤師
外来がん治療認定薬剤師 | 1名 | 感染制御認定薬剤師 | 1名 |
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抗菌科学療法認定薬剤師 | 1名 | 日本糖尿病療養指導士 | 3名 |
栄養サポートチーム専門療法士 | 3名 | 救急認定薬剤師 | 1名 |
実務実習指導薬剤師 | 5名 | 研修認定薬剤師 | 2名 |
病院薬学認定薬剤師 | 1名 | BLSヘルスケアプロバイダー | 1名 |
公認スポーツファーマシスト | 1名 | 骨粗鬆症マネージャー | 1名 |
業績
研究発表
2020年
- 第41回日本病院薬剤師会 近畿学術大会:ブデソニド注腸フォーム剤の使用実績とアドヒアランス向上のためのアンケート調査
2019年
- 第13回日本腎臓病薬物療法学会学術集会・総会2019:腎機能低下を伴う2型糖尿病患者におけるSGLT2阻害薬の使用実態調査
- 第29回日本医療薬学会:寛解期潰瘍性大腸炎における5-ASA製剤のアドヒアランスが内視鏡像にあたえる影響
- 第21回日本骨粗鬆症学会:大腿骨近位部骨折における術後深部静脈血栓塞栓症発症抑制のためのエドキサバン錠投与期間の検討
- 医療薬学フォーラム2019 第27回 クリニカルファーマシーシンポジウム:当院における抗菌薬適正使用への取り組み
- 第40回 日本病院薬剤師会近畿学術大会:病院における優秀な人材の確保や適性判断を目的としたインターンシップ制度の導入
2018年
- 第28回医療薬学会年会:冠状動脈バイパス術後に発症したMRSA縦隔炎に対する陰圧閉鎖療法と抗菌薬治療に難渋した1症例
- 第28回医療薬学会年会:PPI減薬アルゴリズムを用いたPPIの処方の適正化
- 第24回日本小児・思春期糖尿病学会年次学術集会:1型糖尿病患児を対象としたファミリーキャンプの試み
- 医療薬学フォーラム2018 第26回クリニカルファーマシーシンポジウム:減薬提案業務標準化に向けての記録ツールの導入
- 第2回日本老年薬学会学術集会:入院時減薬スクリーニングツール使用の有用性
- 近畿薬剤師合同学術大会2018(第39回 日本病院薬剤師会近畿学術大会):グループ病院であるメリットを活かしたがん化学療法実務実習と初期教育への取り組み
2017年
- 第27回 日本医療薬学会年会:直接経口抗凝固薬(DOAC)のフォーミュラリー作成と適正使用
- 第27回 日本医療薬学会年会:バンコマイシン塩酸塩のTDMにおける血中濃度低値を示す症例の検討
- 第19回 日本褥瘡学会学術集会:当院の褥瘡回診チームにおける薬剤師の役割~症例 から考える現状と課題~
- 第32回 日本静脈経腸栄養学会学術集会:褥瘡チーム・NST・病棟の連携により巨大褥瘡が改善した一例
- 第38回 日本病院薬剤師会近畿学術大会:がん薬物療法における安全性を担保したレジメンへの変更
2016年
- 第10 回 日本腎臓病薬物療法学会学術集会・総会2016:CKD-MBD患者の管理目標値達成率の向上を目指した薬学的介入の評価
- 第25回 日本医療薬学会年会:看護部との連携による持参薬管理の再構築-より安全な管理を目指して-
- 第18回 日本医療マネジメント学会学術総会:手順の遵守による薬剤事故減少を目指して
- 第37回 日本病院薬剤師会近畿学術大会:紹介入院患者のシームレスな薬物治療提供体制の構築
2015年
- 第25回 日本医療薬学会年会:Clostridium difficile 関連下痢症治療薬の使用状況調査と適正使用への取り組み
- 第36回 日本病院薬剤師会近畿学術大会:トルバプタン錠の副作用モニタリングの強化
2014年
- 第16 回日本医療マネジメント学会学術総会:医薬品安全管理委員会の横断的な事故防止の取り組み
院内活動
- 第9回QC発表大会(院内活動):内服薬在庫数の適正化-片付けられない薬剤師 の5S活動- *銅賞受賞
業務内容
病院薬剤師業務(急性期病院)と調剤薬局薬剤師業務の比較
急性期病院 薬剤師業務 (テクニカルスキル 21業務) 臨床薬剤師
A.一定基準の技術レベルの習得・維持
B.付加価値技術
A.一定基準の技術レベルの習得・維持 … 業務の継続性を維持する為の最低限必要な一定基準の技術レベル
B.付加価値技術 … 年月をかけて熟成させる技術
調剤薬局 薬剤師業務 (テクニカルスキル 5業務)
(調剤薬局によって実施施設あり)
調剤業務
医師が指示した処方内容が適正であるかを確認してから調剤を行っています。また、錠剤を1回の服用時点ごとにパックするなど患者さん一人一人に適した形で調剤しています。
注射薬は、患者さん個人ごとにセットして病棟に払い出しています。
オーダリングシステムとそれに連動する調剤支援システムにより、薬袋、散薬薬包紙、錠剤分包紙、および注射薬ラベルに患者さん氏名や服用時点、薬品名などを印字し、医療安全の向上を図っています。
病棟業務
入院されている患者さんのベットサイドへ伺い、薬の効果や服用方法、副作用や注意事項などを説明しています。また、患者さんからの質問やご相談にも対応させていただき、薬の副作用が起こらず、薬による治療が効果的に実施されるように努めています。入院時には持参された薬を確認し、患者さんがどのような薬を飲まれていたかを医師へ情報提供し、当院での代替薬の提案をしています。また、持参された薬がいつまであるのかなど患者さんの服薬状況を確認し、薬の飲み合わせや重複投与などのリスク回避を行っています。
すべての病棟に専任の薬剤師を配置しており、医療スタッフや患者さんの問い合わせに直ぐに対応することができ、患者さんへの薬の説明を行うだけでなく、医師、看護師などと連携し、チーム医療の一員として薬剤師の立場から適切な投与方法などを提案しています。
抗がん薬調製業務
抗がん薬を用いた化学療法は、医師と協力し、化学療法による治療計画(レジメン)を検討しています。
患者さんへ投与される際には、処方内容が適正であるかを確認し、患者さんへの品質の保たれた抗がん薬の提供と、病院職員の健康を守る(薬剤の曝露を回避)ために、安全キャビネットの中で抗がん薬を無菌的に調製しています。
医薬品管理業務
院内で使われる医薬品を購入し、各部署へ供給しています。また、品質の管理と適正な在庫量となるように数量管理を行っています。
医薬品はヒトの生命、健康にかかわるものであり、その取り扱いについては、多くの法律に規定されています。これらの法律を遵守し、院内で使われる医薬品が適正に管理され、供給、使用されるようにしています。
薬事委員会の一員として適正な薬剤の選定にも関与しています。また、院内で使用する薬剤のコンピュータ管理(マスタ管理)とメンテナンスを行っています。
医薬品情報業務
医薬品の情報収集、解析、評価、管理をしています。
医薬品に関するトピックス的な情報を院内メールなどで、医師、看護師などの職員に情報伝達しています。
医師、看護師、患者さんなどからの医薬品に関する種々の問い合わせへの対応を行っています。
チーム医療
当院では薬剤師として、ICT(感染対策チーム)、AST(抗菌薬適正支援チーム)、NST(栄養サポートチーム)、褥瘡対策チーム、糖尿病チーム、に参加し、医師や看護師などのスタッフと共にラウンドを行っています。
その他にも医療安全管理委員会、感染防止対策委員会、化学療法検討委員会、クリニカルパス委員会、輸血療法委員会、患者サービス委員会などに参加することでチーム医療に貢献しています。
ICT(感染対策チーム) |
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ICTとは、Infection Control Team(感染対策チーム)の略で、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師などの多職種で構成された医療チームです。院内で発生する医療関連による感染(院内感染)を未然に防ぐための手洗いや、手指の消毒などの日常の感染対策について職員教育を行っています。 薬剤師の役割は、院内感染の予防対策として行っている週1回の病棟の環境ラウンドにて、医薬品の期限や保管環境をチェックし、院内の環境整備の監視・指導を行っています。 また、カンファレンスに参加し、病原体の検出状況の確認や、耐性菌の発現を防止するために、抗菌薬や消毒薬の使用状況の確認や助言を行います。また、薬物血中濃度モニタリング(Therapeutic Drug Monitoring:TDM)を行い、個々の患者さんに応じた抗菌薬の投与設計を行っています。 |
AST(抗菌薬適正支援)チーム |
ASTとは、Antimicrobial Stewardship Team (抗菌薬適正支援チーム)の略で、現場における実践チームとして、感染症に対する抗菌薬の治療効果の向上と、副作用や耐性菌の発現をできるだけ少なくすることで、感染症治療を最適化することを目的として活動しています。 薬剤部では専従でAST活動に取り組む薬剤師を1名配置し、広域抗菌薬を使用している患者さんや、病原体が検出された患者さんを早期から確認し、適正な抗菌薬の選択、用法用量の最適化、使用期間などの確認を行っています。 そして、ICT(感染対策チーム)と共に、抗菌薬の不適切使用の減少や薬剤投与日数の短縮を図っています。 |
NST(栄養サポートチーム) |
NSTとは、Nutrition Support Team(栄養サポートチーム)の略で、適切な栄養療法の選択と提供、合併症の予防などのために、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、理学療法士、言語聴覚士など多職種で構成された医療チームのことです。 患者さんにとって栄養状態を良好に保つことは、全ての治療法の根幹をなす最も基本的な患者ケアの一つであり、治療効果を上げることに大きな影響を及ぼします。そのため薬剤師として、週1回のカンファレンスに参加し、薬の副作用による食事量の低下がないか確認したり、患者さんの状態を考慮しながら静脈・経腸栄養療法のメニューについて、検討や提案を行っています。 |
褥瘡対策チーム |
当院の褥瘡対策チームは形成外科医、皮膚科医、皮膚排泄ケア認定看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、病棟看護師が協力し合い、チームで褥瘡患者の回診を行っています。週1回、回診前に全員でカンファレンスを行い、情報共有をしてから患者さん一人一人の元へ向かいます。 薬剤師の役割としては、薬の効果の確認だけではなく、軟膏の性質に関する情報の提供や、薬剤による副作用の確認を行っています。 回診時に、褥瘡と全身状態の観察を行うことで、患者さんの病態を考慮しながら薬物療法の提案を行い、効果的・効率的な褥瘡治療を行っています。 |
糖尿病チーム |
当院の糖尿病チームは糖尿病専門医2名をはじめ、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、理学療法士、外来・病棟看護師が協力し合い、糖尿病患者さんの療養指導に取り組んでいます。 大きなイベントは年2回あり、春には遠足へ行き、みんなで運動やレクリエーションをしてお弁当を食べます。そして、11月の世界糖尿病デーには、医師を含む各部署が相談コーナーを設け、講義やポスター展示により糖尿病についての情報提供をしています。 その他、地域の方たちにも糖尿病という病気について知ってもらうための公開医学講座を行っています。 薬剤師は、糖尿病の薬について理解を深め、治療への自己管理の重要性を理解してもらえるような指導に努めています。そして、薬の面から患者さんを援助するだけでなく、生活全般について必要で適切な情報を提供しています。 |